日本の歴史に深い関わりのある大麻(おおあさ)
大麻は、陶酔成分があることからマリファナなど麻薬に使われる悪いイメージがありますが、実は日本と大麻は歴史的に深い関わりがあります。
日本には元々大麻が自生しており、縄文早期には生活に使われていたことが福井遺跡の出土品から確認されています。神道では、大麻は神聖な植物とされ、お祓いに使用される神具「大麻(おおぬさ)」や、伊勢神宮のお札「神宮大麻」などに用いられました。 また、日本の伝統柄「麻の葉柄」は大麻の葉がモチーフになっており、背丈が大きく成長が早い大麻の性質から、子供の成長を願う縁起物として古くから人々に愛されてきました。
近年ではエコの観点から見直されつつあります
ところが、現在は大麻取締法による規制のため日本国内での取り扱いはほとんどなく、麻織物の多くはリネンまたはラミーが主流になっています。 しかし近年、人々の健康志向の高まりや地球の環境保護の観点から有効な植物として、大麻が見直されつつあります。 大麻は、極端な温度変化を伴う土地(南極、北極、湿地帯など)以外は栽培が可能です。少量の水で育つため痩せた土地でも栽培でき、成長が早く丈夫で、農薬や化学肥料も必要ありません。
新たな実用性
古代エジプトでは鎮痛剤として使用された記録があり、現在、その有効性が認められ、欧米では抗がん剤等の副作用を緩和する目的の医療用大麻として用いられています。また、茎の繊維は衣料、紙、建材、プラスチックの原料などに、種は食品、化粧品、バイオ燃料などに利用でき、石油に変わる新たな資源として注目されています。 このようなことから、海外では一部地域で大麻の栽培・使用が解禁になり、日本でも寺社を中心に大麻文化を復活させようという動きが出ています。