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地域のブランド

豊かな水に恵まれた滋賀の自然環境

日本で最も大きな湖、琵琶湖は滋賀県の全面積の1/6を占め、その周囲に比良、比叡、伊吹、鈴鹿の山々がめぐる風光明媚な土地です。

そんな琵琶湖の東岸にある「近江の麻」の湖東産地は、湖面からの湿潤な空気(霧)と、鈴鹿山系から流れる愛知川の美しい水で、非常に高温多湿な内陸性の気候になっています。

麻の製織・加工に欠かせない高い湿度と美しい水に恵まれ、湖東地域は麻織物の産地として大きく発展しました。

彦根藩に守られて振興した「近江麻」

近江上布の前身は 室町時代に彦根高宮地方で産出された「高宮布」 です。
江戸時代には彦根藩が国産品振興と武家用の袴地確保から保護奨励を行い 、将軍家への献上品としていました。天保14年(1843年)「枝村より高宮宿縮図」には、布商売で盛んだった高宮宿の様子が描かれています。
そして、嘉永3年(1850年)に櫛押による絣模様 「櫛押捺染」くしおしなっせんが、昭和8年(1933年)には羽根巻きによる 「型紙捺染」かたがみなっせんが発明されました。

伝統技法の良さと新しい技術・質の高いデザイン性の融合

近年では昭和52年(1977年)に絣と生平きびら 手績糸てうみいとを使い 地機じばたで織られた生地)が「近江上布」として国の伝統的工芸品に指定されました。

現在は伝統技法の良さを守りながらも、新しい技術と質の高いデザイン性・感性を備え、その時代を代表する上質な麻織物を発信し続けています。

わが国で一番大きく美しい琵琶湖。その湖を比良・比叡・伊吹の山々が囲み、
豊かな水と高い湿度という環境が生まれます。
そんな好条件に恵まれた湖東産地(愛知川・能登川方面)に麻織物は発達しました。
ここでは、様々な麻織物の種類についてご説明いたします。

近江上布

有史以来500年余りもの技術や手法

「近江上布」は生産技法からかすり生平きびらに大別されます。絣は、櫛型の木に染料をつけて糸に捺染する「櫛押捺染」くしおしなっせんと、羽根巻きによる 「型紙捺染」かたがみなっせんの技法があります。生平は手積糸てうみいと(手で紡いだ糸、手紡糸てぼうし)を使用した生地のことを言い、本来、近江上布の生平は地機で織ることが条件ですが、現在は大半が機械化されています。 明治以前は湖東地域で栽培が盛んに行われた大麻(ヘンプ)が大半を占めていましたが、以降はコスト面や機械紡績のしやすさなどから苧麻ちょま(ラミー)が主流になりました。

近江蒟蒻(こんにゃく)上布

こんにゃく糊をコーティング

「近江蒟蒻上布」の原料は、健康食品として食される蒟蒻芋です。その蒟蒻を粉状にして糊を作り、糸1本1本に時間をかけて蒟蒻糊をコーティングします。 この織物はチクチク感が少なく、光沢と程よいシャリ感があるのが特徴です。特に肌に優しく、環境にも良い織物です。

近江ちぢみ

清涼感抜群の「しぼ」加工品

「近江ちぢみ」は伝統の技法によって製織された生地に、昔ながらの匠の技と新しい技術を使って作り出された「しぼ」加工品です。人の手による揉み込み加工は生地の硬さを柔らげ、形状保持性に優れた「しぼ」を形成します。こうして出来上がった生地はその形状から肌への接触面が少なく、シャリ感のある抜群の肌触りが得られます。天然繊維の麻のみが持つ爽やかな縮布は、軽くサラサラと心地よい、夏に最適な素材です。

※現在、近江ちぢみ加工は機械化されていますが、滋賀県で生産されたちぢみ加工の織物及び、それら織物で生産された製品は「近江ちぢみ」として、地域団体商標に登録されています。

近江竿干(さおぼし)ちぢみ

自然な仕上がり感のある生地
伝統ある手揉みしわで加工された生地を、人の手で丁寧に竹竿に吊るし、ゆっくりと時を惜しまず乾燥させています。その結果、自然な仕上がりの「しぼ」になります。
 

近江よろけ

うねり感や色変化、周期的な透け感
よろけ織は、特殊な織機を用いて製織された波形模様が特徴の織物です。経糸の密度を強制的に変化させることで、経縞にうねり感や周期的な透け感、色変化を生み出します。

近江草木染め

草や木から採取した染料を使った染色方法です。 これら天然染料を使った染色は古代から行われてきましたが、堅牢度(日光や洗濯による褪色の度合い)が悪いという弱点があります。そのため、現在は天然染料と化学染料を重ね染めし、双方の良さを引き出した新しい染色方法を行っています。
【左から刈安(カリヤス)、槐(エンジュ)、印度茜(インドアカネ)】

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